農業と田舎暮らしのエッセイ漫画『ぼっち村』の紹介

最近『ぼっち村』というマンガを知り、読んでみたら面白かったので紹介させていただきます。

全くの農業未経験者である漫画家、市橋俊介さんが、雑誌SPA!の担当者との会話をきっかけに、田舎に移住し、自給自足を目指して農業に取り組む様子をエッセイ的につづった漫画です。

畑付きの物件探のに苦労に始まり、いざ希望の物件を手に入れて農作業にいそしむも、虫や鳥に獣に台風、と様々な自然の脅威にさらされ、ようやく収穫の喜びを得たと思ったら、資材や肥料の費用を計算して投資額と収穫物の見合わなさに愕然とし、それでも収益化と就農を目指して試行錯誤をする自らの姿が、時にコミカルに時に真面目に描かれています。

田舎暮らし・野菜作り経験者が共感できる「田舎あるある」や「農業あるある」が随所にちりばめられています。また、作者は野菜を直売所へ出荷したり、レアな野菜の栽培して販路を探しに苦労したりしているのですが、その方面に興味のある方も楽しめるのではないでしょうか。

『ぼっち村』は全3巻で、1巻は紙の本でも販売されているようですが、2巻以降と続編の『ぼっちぼち村』は電子書籍のみとなっているようです。

ここからは個人的な感想になります。

私も昨年まで里山の麓に住み、庭で家庭菜園をしていたので、スーパーの「きゅうり35円」を見て「買った方が安い」と感じたり、投資した資材費などを計算して「(収穫した)このカブ1本幾らよ!?」となるエピソードなどは「分かる分かる」とうなずきながら読みました。

また、野生動物たちに畑を荒らされる展開が何度もあり、その度に対策をしたり「地球は誰のモノだ?」と悩んだり、最後には半ばあきらめ気味に「山の畑*は山に暮らす動物や人…みんなのモノ!」と開き直っています。動物に対しても人に対しても強硬な手段に出られないことを、本人はヘタレと表現していますが、根底にあるのは優しさなのではないかと思います。(*この時点で作者は「山の畑」と「平野の畑」の2つを耕作していました)

ところで、この『ぼっち村』、前半は特に自虐要素が強く、また、掲載誌SPA!や担当編集者への恨み節や読者への物乞いアピールなど、賛否両論ありそうだなと個人的に思いました。自分のダメなところを笑いにしようとするあまり、やりすぎて顰蹙を買ったのではと心配になりました。

ただ、そういう卑屈さとかなりふりかまわない情けなさ、という人間的魅力の点でマイナスな印象になるような部分を前面に押し出しているところが、逆に市橋さんを愛すべきキャラクターにしていると思います。

必死の訴えを読んでいると応援したくなりますし、集落の人たちとの交流や畑を一緒にやろうというマダムとの出会いなど、いいことがあれば「よかったな~」と読んでるこちらも嬉しくなります。

続編の『ぼっちぼち村』は、『ぼっち村』とはかなり様相が異なり、テーマを大きく転換しています。後半は手に汗握る展開もあります。現在は休載となっているようですが、また再開されることを祈っています。

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こやもり

野菜をたくさん食べられる料理が好きな主婦です。
夫と二人暮らし。Iターンで里山暮らしを約10年間経験後、2020年から都市部へ引越ししました。

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